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テクノアドバイザー奮闘記

「第2回:はじめての3D-CAD/CAM」

先端科学技術育成センター 助教 新川 真人

第1回の奮闘記では,先端科学技術育成センターマシン創造ラボの最新鋭工作機械に触れるまでの著者の心境やNC工作機械の概要について紹介しました。前回の内容を一言でまとめると、「素人にホントにできるのか?」となります。今回は、加工を行ううえで重要な形状データ(CADデータ)を作成するとともに、そのCADデータからNCデータを作成するまでの流れを紹介します。

1.デジタルエンジニアリング

図1 NC工作機械による加工までの流れ
図2 デジタルエンジニアリングの概略
  前回の奮闘記でも書きましたが、NC工作機械による加工までの流れは、図1のようになります。
  実際に加工を行うためには、それまでに様々なデータが必要になります。そして、それら様々なデータが作成されるプロセスをさかのぼっていくと、「CADデータ」にたどりつきます。
 ここで新しいキーワードがでてきました。「CAD(キャド)」とは、「Computer Aided Design」の略です。つまり、コンピュータによる設計支援システムを意味します。
 さて、この「CADデータ」ですが、おそらく皆さんの多くがイメージする、単なる「図面」とは異なり、様々なデータへと変換される極めて価値の高いものであると気づいてもらえましたでしょうか?実際のものづくりの現場においても、この3D-CADデータをベースにして、製品の設計・開発・試作・製造・解析から、営業活動やマーケティング等が展開されます。このような製造形態のことを、「デジタルエンジニアリング」といいます。図2に、デジタルエンジニアリングの概略を示します。

2.CADデータの作成

図3 勘違いしやすいポイント
 製造プロセスにおけるCADデータの位置づけとその重要度について理解していただいたでしょうか。CADデータを作成するには、当然ソフトウェアを活用する必要があります。ですが、その種類は大変多く、どれを使っていいのか分からないという声もよく聞きます。
 あくまでも一般論ですが、CADを学ぶということは、ソフトウェアの使い方を学ぶということではありません。図3に、皆さんがCADの授業で勘違いしやすいポイントを挙げます。CADを使って図面を描くことは、工学を勉強しなくてもできます。ですが、工学を学んだからこそ、その図面に様々な情報を組み込み、その情報を別の形態で活用することが可能になります。大学の授業でCADを学ぶ学生さんは多いと思います。しかし、勘違いしないでいただきたいのは、使い方を勉強しているのではないということです。だからこそ、手書きによる設計・製図の勉強が重要となります。
 前置きが長くなりましたが、私自身がどのようにして取り組んだかについて紹介していきます。
 先端科学技術育成センターには、現在のところ残念ながら専用CADソフトウェアが導入されていません。専ら、CAMシステムのCADを活用しています。ですが、これでもしっかり使いこなせば十分なデータを作成することが出来ます。当センターに導入されているCAD/CAMシステムとしては,以下の3つがあります。
● hyper CAD・MILL(OPEN MIND Technologies AG 社)
● Gibbs CAM(Gibbs and Associate 社)
● Mazak Smart System(ヤマザキマザック)
  図3 勘違いしやすいポイント
図3 勘違いしやすいポイント
それぞれがどのようなソフトウェアなのか、どのように操作するのかについては説明を省きます(興味のある人は、是非センターまで来てください)。ここではどのようなものが描けるのかについて紹介します。
 図4は、ある製品の図面を紙に描いた状態です。これがどのような形状をしているか分かりますか?おそらく製図の勉強をし、ある程度慣れた人でなければ頭にモデルを描くのは難しいのではないでしょうか。
 一方、図5は、図4から3DソリッドモデルによるCADデータを作成した様子です。両者を見比べたとき、紙の図面を見て、これがどのような形状をしているのか分からない人でも、3Dモデルであれば分かると思います。これが、3D-CADのひとつの特徴です。
 いかがでしょうか。3D-CADが何か製品を作る際の強力なツールであることが少しでも分かってもらえたら幸いです。ですが、ここで皆さんに覚えておいてもらいたいことがあります。
 確かに、今後のものづくりにおいて、CADはなくてはならない重要なものです。どのような職種にも関わらず、皆さんも会社に就職したら必ず使わなければならないものです。
 しかしながら、CADの能力とはCADソフトを使いこなすという意味のみに留まりません。重要なことは、その図面に設計者の意図をどれだけ反映させることができるかということです。また、海外の技術者とのコミュニケーションツールとしても極めて有益です。製図やCADの授業・演習ではそのことを頭において取り組んでほしいと思います。

 いかがでしたか?少しでも図面の重要性を理解してもらえたら幸いです。 次回は、「3D-CAD/CAMによるNCデータ作成」を予定しています。
 いよいよNC工作機械を動かすために必要なNCデータの作成に入ります。