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「エコロジー&アメニティ・プロジェクト」の巻

創成教育部門 寺田  聡  

 「創成教育便り」の第2段として、「学際実験・実習」の中から、「エコロジー&アメニティ・プロジェクト」を紹介させていただきます。総合研究棟の1階と2階の壁に、パネルが展示されているのを見られたことはありませんか。このパネルは昨年までの学生さんによる調査研究の成果なのです。これを眺めておりますと、一生懸命に頑張って取り組んでくれていた学生さん一人一人の顔が浮かんできます、そしていつの間にか「プロジェクトX」のテーマを口ずさんでいます。
 ところで、このエコロジー&アメニティ・プロジェクトは、今年3回目の開講になります。昨年・一昨年は、「環境問題調査隊」という名称で運営しましたが、今年度はカタカナにして少しかっこよくしてみました。実際のところは内容にそう大きな変化はありませんが、しかし初年度の場合はほとんど調査研究だけであったのが、昨年当たりから実際に実験を行うとか、何かを作るなどの企画が増え、今年度はかなり実験を取り入れてきている点が成長した点だと思います。  エコロジー&アメニティ・プロジェクトは、学生さんの関心を持ったテーマについては何でも、環境に関連している限りテーマとして取り上げ、教員はアドバイザーに徹するという、ある意味でもっとも創成教育らしい授業です。といっても、「何でもあり」というのは逆に何をやって良いのか困るというのも人間の心理(真理?)ですから、今年度は福井大学のキャンパスとその周囲、とくに田原町商店街との関わりの中から教員がある程度テーマを提案し、これに基づいて学生さんが調査活動に取り組むという形態をとりました。(同時に、学生さんからテーマに希望がある場合は、それも受け入れることにしました。)
  4月の始めにこの授業の紹介を行い、多くの学生さんに集まってもらいました。後ろに載せますが、「田原町とエココイン」、「ベンチをつくろう」など、9つのグループが形成され、調査・活動を行なっています。テーマによって、わずか1名のグループもありますし、20名を越える大きなグループもできております。「ベンチを作ろう」グループは、すでに学園祭に際して、実際にベンチを始めいくつかのオブジェを展示しておりましたから、多くの方はご存じではないでしょうか。

中間報告会 みんなで考えよう


発表に使ったパワーポイントの表紙例
 エコロジー&アメニティ・プロジェクトでは、プレゼンテーション能力を大切にしています。中間報告会は、パワーポイントを用いてプロジェクターによるオーラル発表で、最終報告会はイレパネを用いてポスター発表を取り入れております。
 中間報告会は5月31日の5時限目に行いました。単に各グループが報告を行うのではなく、他の学生さん達から何らかの提案を頂ければ、と願って、「活動状況の報告と提案、みんなで考えてみよう」というサブタイトルを付けました。改築され整備されたばかりのぴかぴかの131L教室(1号館1号棟3階)で開催しました。
 発表はパワーポイントで行い、発表時間は5分で、質疑応答は、目安を3分としました。教員の立場からしますと、写真を活用したりアニメタッチといった迫力あるスライドというのは作るのが困難ですが、遊び心と言いますか、柔軟な学生さん達は実に見事に創意工夫しておりました。

発表会の様子
 そして意外にも、多くの質問が学生からだされましたし、一生懸命提案もして下さいました。予定の6時を大幅に越えて、6時40分まで続きました。このように盛り上がり、司会を行っていて大変に嬉しかったです。

創成教育は教員も元気にします

 教員の立場として、この授業を行って良かったのは、他学科の先生と「学際的」につきあえることです。工学部というのは、実に多様な学部なのだなということに気づかされました。学生さんの教育を通じて、他学科の異なる文化に触れられて多いに啓発されています。
  そして、もっと嬉しいことは、この教育を受けて多いに成長した学生さんを自分の研究室の卒論生として受け入れることができるのです。色々な学科の教育熱心な先生方から創造的な教育を受けた学生達ですから、大いに成長しております、新しい課題に取り組む力に満ちています。次世代に教員の蓄積してきた学識を教授するだけではなく、我々教員にとっても有益で魅力のある教育です。

最終発表会とその後

 授業としての最終発表会は、7月19日の水曜日に行います。これにくわえて、学外への発表という目的で秋に「福井大学元気プロジェクト祭り」でも発表を行います。また、引き続き調査・研究を行いたい方々は、アドバーンストコースということで、後期にも活動を続けることができます。ただし、後期の活動では単位を得ることはできません。より一層の発展を期待していますし、教員として学生さんの自主性を生かし、一層の成長を成し遂げられるように協力していきたいと考えております。


タバコのポイ捨てなくし隊

底食川の水質調査

文京キャンパスの風環境改善

学生インタビュー

●伊東護一さん(生化3年)へのインタビュー


活動中の伊東さん
Q 昨年に引き続いて、今年は2度目のエコロジー&アメニティ・プロジェクトに参加してもらっているのだよね。
A はい。昨年やってみて、文献を調査する能力や、パワーポイントを通じての発表の技術などが着実に身に付いた、自分が成長できたと実感できました。それで今年度もそういう能力をもっと伸ばしたいとおもって参加したのですが、今年の場合は、最終発表会でこういう風にまとめるべきだから、あとこういう情報を調査してみようとか、どういうデータが必要だとかそういうことを考えながら進めることができております。二回目というのは全然違いますね。 Q プロジェクトの内容も昨年と今年は違いますよね。 A 昨年は植物の細胞培養に挑戦して、それはそれでとても楽しく、良かったのですが、今回は「たばこのポイ捨て」をテーマに材料の学生さんと一緒に取り組んでいます。違う学科の方ということで目先が変わっていますし、みんなでわいわいがやがやとやっていて、とても楽しい雰囲気ですよ。

Q 「たばこのポイ捨て」って、どんなことを調べているの?
A たばこの吸い殻の落ちていないきれいなところには吸い殻を捨てる人は少ないけれども、吸い殻が捨ててあるとつられてそこに捨てても良いのでは、と捨てる人が増え、吸い殻ゴミの量が増えます。それで、同じ場所で放置されているたばこの本数を時間を追って調べて、何本くらいあると急速にポイ捨てが増えるかを測っております。このデータを元に、何日に一回の割合で掃除をすればポイ捨てが増えず、効率がよいかをシミュレートできると考えています。

Q とてもエンジニアらしい、良い着想ですね。
A ええ、なかなか面白いですよ。こういうデータとりに加えて、アンケートも活用して、どうやったらポイ捨てが減らせるかを考えて、試行しています。

Q どういうアイデアがあるのかな?
A それは最終発表会や元気プロジェクト祭りで公開、ということで。

Q 7月19日の最終発表会や元気プロジェクト祭りが楽しみですね。期待していますよ。